マーケティング

マーケティング戦略は必要か?経営ビジョンとの整合性が重要

マーケティング戦略は必要か?経営ビジョンとの整合性が重要

マーケティング戦略とは?

 戦略(Strategy)は特定の目的および目標を達成するために、長期的・全体的展望に立った計画・運用などの方策を指します。
元々は、軍事的な側面の強い言葉でしたが、現在では、国家戦略や経営戦略などのように、様々な概念に用いられています。企業が行うマーケティング活動においても、こうした戦略的な観点を持つことの重要性は高まっています。
しかしながら、特に中小企業の多くが戦略的にマーケティングを行えていないのが現状です。

 ここでは、マーケティング戦略を実行するうえで理解しておくべき基本的な内容を説明します。

 

マーケティング戦略と経営ビジョンの関係性

 大前提として、マーケティングそのものを単体で行うことはありません。企業の戦略や活動のすべては、その組織のビジョン(未来像)に基づいて決定されます。組織はビジョンを実現するためにミッション(使命)を掲げ、具体的な目的と目標を示します。そして、示した目的・目標を達成するための戦略を策定していきます。

 そこで、マーケティング戦略と経営ビジョン、ミッションとの関係性を理解しやすくするため、VMOS(ブイモス)という考え方を用いて説明していきます。

VMOS(ブイモス)とは、

  • ① Vision(ビジョン):企業の存在意義、未来にどうありたいかの言語化
  • ② Mission(使命):ビジョンを達成するために成すべきこと
  • ③ Objectives(経営目標):重要目的事項、目標
  • ④ Strategy(戦略):ビジョン・ミッション・オブジェクティブを達成するための方法論および企画・計画
  • ⑤ Tactics(戦術):戦略の実施・手段・施策
  • ⑥ Foundation(基本方針):ビジョンを達成するための日常的な行動指針

から成り、これら①~④までの上位の項目の頭文字をとった略称です。

VMOS図
VMOS図【出展:一般財団法人 日本コンサルタント協会】

 企業の活動はVMOSの上位概念を達成するために行われ、最上位に位置するのがVision(ビジョン)です(※VMOS図参照)。
Vision(ビジョン)を実現するためにMission(使命) を掲げ、Mission(使命) を具体化するためにObjectives(経営目標)を定め、Objectives(経営目標)を達成するためにStrategy(戦略)を策定します。マーケティング戦略は、この部分に位置します。

 次に、VOMSを山として見立て、その山を登る登山者を例に各項目の関係を説明していきます。(※図1参照)

図1
図1

 Vision(ビジョン)は山頂です。登山で頂上を目指すのと同様、企業が達成したい未来を目指します。その際に、どの山を登ることがビジョンの達成に繋がるかを定めるのがMission(使命)です。
Objectives(経営目標)はビジョン・ミッションを成し得るため必ず行わなければならないことを目的として定め、それを具体的な目標値に落とした項目です。登山なら頂上を目指すうえで必ず通る各地点を目的とし、いつまでに何合目の地点(図1の目標①~③)まで辿り着くのかを具体的な数値目標として設定します。
Strategy(戦略)は登山ルートに該当します(図1の戦略①~③)。真っ直ぐ頂上に向かっているが、断崖絶壁などが立ちはだかる険しいルート。曲がりくねって距離は長いが、なだらかな勾配のルート。行く手を遮る危険と障害が多いルートなど、どのルートが頂上へ近づくための効果的なルートかを選択します。 
 そして、ルート上にある障害を乗り越え、登山の効率を上げるための方法やツールがTactics(戦術)にあたります。最後に、一日にどれくらい歩くかなど、日々の行動の基本方針を取り決めておくのがFoundation(基本方針)です。

 このように、それぞれの項目はすべて、ビジョンを達成するために存在し、下位の項目は上位の項目を実現するためのものでなければならないことが理解できたかと思います。もちろん、マーケティングも例外ではありません。マーケティングが企業活動の一環である以上、ビジョン達成を目指すための位置づけであり、尚且つ頂上に辿り着く最適かつ効果的なルートの策定を戦略性を持って遂行せねばなりません。

 

戦略と戦術の違いとは?

 戦略は、大きく分類すると「マーケティング」「人材育成」「内部プロセス」「財務」の4つの経営項目から成り立っています。そして、4つの経営項目にはそれぞれ戦略と戦術が必要となります。

  マーケティング 人材育成 内部プロセス 財  務
戦  略 ■ブランド戦略
■価格戦略
■営業戦略
■リアルマーケティング
■ウェブマーケティング
■新商品の開発、既存商品の改良
戦  術 ■CI・ロゴマークに策定
■チラシ・パンフレット・看板・のぼり等のデザインおよび実施
■パッケージデザイン
■POPデザイン
■ウェブサイト制作および運用
■ネット広告設定および運用

 戦略には細かく分ければいくつかの方法論が存在しますが、その際、どのような戦略を取ることが適切なのかは状況によって異なるため、十分考慮する必要があります。そして、策定した戦略は戦術によって遂行していきます。
しかしながら、戦略と戦術は一見しただけでは違いがわかりにくいため、時に混同して用いられることも多く見受けられます。戦略と戦術、それぞれの違いをしっかり理解しておくことで、効果性の高い戦略や効率的な戦術を立案できるようになります。

2つの違いについては下記の表を参照してください。

戦略 戦術
効果性(Effectiveness) 効率性(Efficiency)
「正しい」ことの遂行 物事を「正しく」遂行する
計画の策定 計画の実行
資源の育成 資源の活用
目に見えない 目に見える
社外に対する設定 社内に対する指示

 戦略は、経営目的の効果性を高めるための方法論です。会社が定めた目標値を達成するための計画を策定し遂行することです。一方、戦術は戦略策定された計画を正しく遂行するために必要な行動を取り決め、それらの効率性を高めるための具体的な手段です。

 具体的には、企業のマーケティングにおいて会社の売上をアップさせるために、どのようなマーケティングが効果性を高められるのか定めることが戦略です。自社の数ある商品やサービスの中から、売上アップに貢献しているモノを見定め、これらの商品・サービスが今よりも売れるようにするための道筋として、どのような方法論を用いるかを決定します。そして、決定した戦略を効率よく遂行していくうえで、ウェブサイトやチラシの制作が有効であると判断できれば、それらを実行していきます。これらのプロモーションツールの制作にあたる施策はすべて戦術に該当します。

 戦略と戦術の区別を分かりにくくしている要因として、戦略は目に見えないということが挙げられます。戦術は、施策としてのチラシやダイレクトメールなどの制作物などがあるため目に見えますが、一方、戦略には具体的に目に見える物は存在しません。このような特性の違いが、戦略を曖昧な存在にし、結果小手先の戦術ばかりに走ってしまう一因になっています。

 しかしながら、戦術では高い効果性を生み出すことはできません。なぜなら、戦術は効果性を上げるためではなく、あくまでも戦略を正しく効率的に遂行するための手段としての位置づけだからです。ただ闇雲に配布したチラシやダイレクトメールの効果が上がらないのは、そうした理由からです。たまたま上手く行った時があったとしても、継続的な効果は望めないでしょう。どの商品やサービスのプロモーション戦術を、いつ・どこで・誰に実施するかを戦略的に行うことで、それぞれの施策(戦術)がシナジーを発揮し効率性も上がるのです。

 戦略がVMOSの上位概念を達成するためであるのと同様に、戦術も戦略を補完する関係でなければなりません。すべては連動しているのです。

 

まとめ

 マーケティングは企業の収益を上げるための重要な活動です。そして、企業が収益を上げるためにはマーケティング戦略を策定することが不可欠です。戦略なき戦いに勝算はありません。ただし、戦略はあくまでも企業のVision(ビジョン)を達成するための方法論です。よって戦略が最大効果を発揮するためには、常に経営ビジョンとの整合性を保つ必要があります。

 もし今、自社のマーケティング効果に疑問を感じているのであれば、これを機に一度、ビジョン達成のための戦略になっているかを確認してみてはいかがでしょうか。

 

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