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マーケティング研修や勉強会では専門の人材が育たない理由と対策

マーケティング研修や勉強会では専門の人材が育たない理由と対策

 社員やスタッフにマーケティングを学ばせる手段として、研修や勉強会に参加させることは一般的によく行われています。しかし、研修や勉強会に参加させてみたものの、その後の効果に疑問を感じたことはないでしょうか?

 実は、「知識があってもいざ実践となると役に立たない。」という企業の悩みは意外と多いのです。その理由として、知識ばかりが先行してしまい、マーケティングをスキルとして身につけにくい研修の現状と、企業側の課題があるからです。

 

1.マーケティング研修や勉強会の現状

 一般的なマーケティングの研修や勉強会で学ぶ主な内容を以下に挙げてみます。

  • SWOT分析=「強み・弱み・機会・脅威」の要因分析し経営状況を評価する手法
  • 3C分析=「お客様分析・競合分析・自社分析」
  • STP=「セグメント・ターゲティング・ポジショニング」
  • 4C=「(お客様視点での)価値(Customer value)、負担するコスト(Cost)、 利便性(Convenience)、対話(Communication)」
  • 4P戦略=「商品(Product)、価格(Price)、プロモーション(Promotion)、流通(Place)の戦略」
  • AIDMA(アイドマ)=「お客様の購入に至る5段階の心理プロセス。Attention(注意)、Interest(関心)、Desire(欲求)、Memory(記憶)、Action(行動)」
  • AISAS(アイサス)=「インターネット上でお客様の購入に至る5段階の心理プロセス。Attention(注意)、Interest(関心)、Search(検索)、Action(購買)、Share(情報共有)」
  • PDCA=「Plan(計画)、Do(実行)、Check(確認)、Action(実行)」

 他にもありますが、研修や勉強会ではマーケティングのフレームワークを学ぶ内容が多いようです。もちろん、こうしたマーケティングの基礎的な知識を学ぶことは大切なことであり、実際にこれらのフレームワークは実践の現場において活用されていることから、一定の学習効果は得られるでしょう。

 しかし、研修や勉強会という性質上、受講者の個々のケースにまで踏み込んだ学習スタイルは取りづらいため、どうしても一般論的な抽象論が多くなり具体性に乏しくなることは否めません。

 

2.研修では企業が抱える課題に対応できない

 前述したように、研修や勉強会ではマーケティングの基礎知識やフレームワークを学ぶことはできまが、それは単に知識を得ただけであって、それがすぐ実践で応用できるかと言えば決してそうではありません。なぜなら、得た知識を知恵に変えるために必要な現場経験が圧倒的に足りないからです。

 例えば、医療の世界で一人前のドクターと認められるまでには、数多くの臨床経験が必要とされます。いくら大学の専門課程で学び優秀な成績を修めた者であっても、いきなり患者を任されることはあり得ないことは容易に理解できるでしょう。
研修過程を終えた後、臨床経験を積み重ねていきながら徐々に患者に接する機会を増やし、病状から治療方針を判断し、根治に向け適切な治療を施したり患者へのアドバイスができるようになっていきます。ここまでに達するには、相応の時間を要しますし、様々な病状に対し適切な診断が下せるようになるには、もっと多くの時間と経験が必要になります。

 多くの課題が山積する企業経営においても、同じことが言えます。中でもマーケティングは会社の売上を作る活動の生命線であり、中小企業にとってはひとつの判断が命取りになることは十分あり得ます。しかも、国内市場が縮小しあらゆる業界が衰退する時代へと突入する中、従来の業界にしがみついているだけの経営ではやがて立ち行かなくなります。企業がこの先の時代を生き残っていくためには、他の業界の市場へ攻め入っていくことが必要になるのです。

 そのためには、新たな業界へどのように攻め込むのかを精細に調査し、効果性の高い戦略を策定せねばなりません。効果性の高い戦略を具体的に立案するには、業界の専門知識の習得はもちろんのこと、消費の動向、競合企業の特性などのデータを総合的に精査し判断できる能力が求められます。さらに、データだけでは直接見えてこない側面を見通す勘所(かんどころ)も要所要所で必要になります。また、戦略は立案して終わりではありません。戦略を効率的に遂行していくための戦術を取り決め実行しなければなりません。それには状況を的確に見極め、適材適所に有効な手を打っていく統括的な判断力も必須となるのです。

 マーケティングが企業の売上を作るための生命線である以上、インプットすべき知識は多岐に渡ります。
インプットされた知識は実践でアウトプットしてこそ身についていきます。ただし、それには相応の時間が掛かります。
大企業のようにマーケティング部門が設置されており長年に渡って蓄積された経験やノウハウがある会社ならば、人材の育成にある程度の時間と予算を割くことができるかもしれません。しかし、マーケティング専門部門を持たない会社が今から立ち上げていくのであれば、時間的な猶予から鑑みると、研修だけで人材の育成を賄うことは非常に難しいと言わざるを得ません。しかも、せっかく教育し育成してきた人材がずっと会社に居続けてくれるとは限らないのです。力を身につけ、ようやくこれからという矢先に会社を辞めてしまうことはよくあるケースです。このように、研修だけでは解決し難い課題があります。

社員やスタッフが研修や勉強会に参加することが無駄である訳ではありません。個人個人がマーケティングに対する素養を深めることは、確実に会社の財産として蓄積されます。そして、それが成果として実を結ぶ時が必ず訪れるはずです。
そのためにも、今置かれた状況のなかで、最適な策を講じておくと良いでしょう。参考までに以下に解決策を挙げておきます。

 

3.解決策

3-1.経験豊富な外部のパートナーと組む

 限られたコストで利益を最大化するため、マーケティング専任者にはリアルメディアやオンラインメディアなどを最適に統括・運用するスキルが不可欠になっています。しかしながら、マーケティングの手法が極度に高度化・複雑化していることから、専門的な知識はもちろんのこと戦略を立案し遂行できる高い能力が求められます。

 経験豊富な外部のパートナーと組むことで、内部だけでは賄えない部分を効率的に補うことができます。また、外部の人間には、内部の人間では気づかない『盲目的な視点』や業界の慣習に捕らわれることがないため、新しいアイデアが生まれやすいメリットがあります。

パートナー

3-2.限定的に人材を育成する

 戦略の立案や全体を統括して陣頭指揮がとれる人材を育成することは一足飛びにはいきません。そこで、そういう人材に育て上げるためにも、まずはウェブマーケティングや紙媒体などのメディア戦術に特化した人材を限定的に育成するやり方は望ましいと言えます。

 一つひとつの戦術をしっかりと理解しながら次のステップへ進んだほうが、習得のスピードは速まります。さらに人材を社内で育成しながら外部のパートナーと組むことで、通常以上の経験が短期間で得られるため高い相乗効果が生まれやすくなります。

 

4.まとめ

 マーケティング研修や勉強会である程度の基礎知識を学ぶことは可能ですが、実務の場で通用するようなスキルを獲得するには、どうしても実践経験不足は否めません。また、実際の現場では各分野の専門スタッフを束ねていくことも求められます。
社内でそうした人材を育成するには、やはり相応の時間とコストがかかるため中長期的な視点が必要になります。

 

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